嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


「さっき部屋覗いたら成海と池上の雰囲気があまりに良すぎて邪魔すんの悪いと思ってさ」

「なんですか、それ。遠慮なく入ってきてください。なんもないですから」

「ホントに?」

「ホンマですよ。大体あんなイケメンがわたしなんかに興味ないでしょ」

「そんなことはないやろ」
課長の口元が少し上がる。

もう10年も前にフラれてるんですよと教えたらこの人はどんな反応をするのだろうか。

給湯室を課長と出て、部屋に戻ると小早川さんと池上さんが話していた。

「おはようございます、小早川さん」

「おはよ、成海」

挨拶だけすると、また2人で話に戻る。
同期だと言っていたから話し易いのだろう。

わたしも自分の仕事に取り掛かった。




「それでは、カンパーイ!」
課長の陽気な声で歓迎会が始まった。
ウチの課で宴会時によく使うイタリアン。店の奥を区切って、他のお客さんと別にしてくれる。

席順は決めなかったけれど、池上くんの隣にちゃっかり清美ちゃんが座っていて笑ってしまう。


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