嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


叱られた神林くんがますます小さくなる。

「成海、今回だけいけるか?」

「行けへんことはないですけど・・・・」

「オレも一緒に行けたらいいんだけど、その日は予定が入ってんだよなあ・・・・・あ!」

課長が何かを思いついたらしく、ドアを開けて池上くんを呼んだ。

池上くんも外から帰って来たばかりらしく、コートを羽織って鞄を持ったままだ。

「お前金曜日の夜、京都で接待いけるか?」

池上くんが手帳を取り出して予定を確認する。

「ああ、空いてますよ。何ですか?」

「神林の接待ついてってやって。ウチからは部長も出る」

「部長がでるならオレ要らないでしょ」

「いや、向こうが成海も連れて来いって言いやがる。向こうの部長、セクハラ紛いのことするんだ。神林じゃどうにも頼りなくて」

「成海を?」

「すいません、成海さんの優しい声がすっかりお気に入りで是非一度会いたいって」

「ちゃんと波風立てないように断ってこいよ、阿呆か」
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