嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


成海が起きれないかもしれないので会社でこっそり返してくださいとスペアキーを渡してきた。

成海が自分の寝室へ行った後、何冊か本を手に取る。高校生の頃、成海に勧められて読んだ推理小説がシリーズ化されていた。


あれから10年だもんなーーー。



こんな風に再会するなんて夢にも思わなかった。


大学生の頃も社会人になってからも、付き合った女は何人かいた。はっきり言えば身体の関係だけだった女もいる。

時々、あの図書室の優しい時間を思い出すこともあったけれど、だんだん曖昧になり切ない思い出として頭の片隅に追いやられていた。


再会して、こんなに鮮やかに覚えているなんて思わなかった。

まるであの頃の図書室のような、この家がダメなのかもしれない。

妙に感傷的になってしまうから。

ソファーでクッションを枕に寝転がって自嘲し、本を広げた。

目が文字を追ううち、睡魔がやってくる。腕時計を見ると始発まで3時間弱。

少しくらいなら眠っても大丈夫かとブランケットを被り、束の間の睡眠に堕ちた。


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