この度、友情結婚いたしました。
『アホ!これくらいで破れる鼓膜なんて存在しねぇんだよ』

「……言っておくけど、全然かっこよくないからね」


妙に声が気取っていたから、敢えて突っ込ませていただきましたが、どうやら本当に〝決まった〟と思って言ったようで、春樹は声を裏がらせた。


『うっ、うるせぇ!そんなこと思って言ってねぇから』

まったく説得力のない声にがっくり項垂れてしまう。


あぁ、やっぱりないよ私。
どうしてこんなバカのことで泣いちゃったりしたのよ。


再び歩き始め、「ストーカー並みの着信やメールの量はなに?」と問いかけると、思い出したように勢いよく話し始めた。


『そうだ!おい早く帰ってこい!勝手にいなくなりやがって……!こっちは休日だっていうのに、痛い目にあっていたんだからなっ!』

「痛い目?なにがあったのよ」


意味が分からない言葉ばかり並べる春樹に問い掛けると、思いもよらぬ答えが返ってきた。

『来てるんだよ、家に!』

「誰がよ」

『琢磨だよっ!!』


やけくそに出された名前に、私の足はまた止まってしまった。
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