わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 わたしはそれから勉強に集中するようにしていた。

女の子と一緒にいたといっても、わたしだって顔見知りに会えば親しく会話を交わしたり、途中まで一緒に行ったりするだろう。

きっと拓馬とその子もそんなものだ、と言い聞かせていた。


 うだるような暑さはあっという間に過ぎ、身を凍てつかせる寒さが訪れ始めていた。

 わたしと拓馬の関係は以前と、正確には夏以降と変わらない。

 あくびをかみ殺し、首を後ろに仰け反らせる。首の横が軽い刺激を感じ、肩の疲れを緩和させる。

 そして、問題集を閉じた。

 時刻は七時を指していた。もうじき夕食の時間だろう。

飲み物を取りに行くために部屋を出て、階段を下る。

 ちょうどそこで黒のバッグを持った母親と出くわす。

「どうしたの?」

「明日の朝、パンにしようと思ったんだけど、買うのを忘れちゃって」

「お父さんに頼めばいいのに」

「今日遅くなるんだって」

「わたしが買ってくるよ。気分転換」

「ありがとう」
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