わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 まぶしい光がまぶたの裏を叩く。

私はカーテンを開けると、外を覗き込む。

体の腕が鉛とかしたような重さを感じる。

 昨日は寝つけなかったのだ。あの場面を見たことで、想像以上のショックを受けていた。

 再会した当初にあのシーンを見ていたとしたらどれほどよかっただろう。

 制服に袖を通し、いつも通りにごはんを食べて、家を出た。

 家の前にいつものように明るい笑顔を浮かべる拓馬の姿がある。

「おはよう」

 いつもと変わらない笑顔を浮かべる拓馬を横目に、顔を背け、小さな声で返事をする。

「おはよう。昨日、何をしていた?」

「何って、いつもと変わらないかな。学校終わってからは買い物をして、家に帰って。いつも通りだよ」

 いつも通りと言い放った拓馬の言葉がわたしの胸に突き刺さった。

 あの女の子といたのも拓馬にとって日常だったのだろうか。それともあまりに他愛ないことなのだろうか。

 いつも拓馬はわたしに正直で嘘がなくてなんでも行ってくれるという過信があったのだろう。

拓馬から前者の答えを聞くのが怖くて、「あの子は誰なの?」と聞きたい気持ちを飲み込んだ。
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