わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 その後、拓馬を玄関まで送ることにした。

玄関先まで送ろうとすると、それを拓馬が制していた。

「危ないからここでいいよ。また明日ね」

 そんな今までにない優しさを向けられて、くすぐったいような気分になってきた。

扉が閉まるのを確認すると、履いていた靴を脱ぐ。

そのとき、リビングの扉が開き、奈月が出てきた。そして目が合う。

「よかった。相変わらず二人が仲よさそうで」

「仲いいって」

 悪くはないが、そんなに仲がいいかといわれると、よく分からなくなる。拓馬に対して動揺していたことをからかわれるのではないかと身構えたときだった。

「わたし、困ってたんだよね。お兄ちゃんとつきあっているって噂を流されて。だから、周囲の人にお兄ちゃんの好きなのはおねえちゃんだって伝えておいたんだ」

 その言葉で佳代の言っていた噂の真相を知る。

「これからお兄ちゃんと仲良くしてね。二度とわたしがとばっちりを受けないように」

 奈月はそう天使のような笑顔で口にした。
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