Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
「カズマよ、そなたが持っているあの本を持ってくるのだ」

「・・・はい」

族長はカズマにそう言うと、カズマは足早にテントを出ていく。
カズマが戻ってくる間に、族長は私に話をする。

「・・・私達アウディーラという移動民族は、移動しながら何回も危険な目に合ってきた。このような生活を続けている中で何人もの仲間が亡くなり、そのたびに私達は涙を流してきた。・・・そう、それは5年以上前の事、私達が神に感謝を捧げる祈りの儀式をしていた時だ、突然目の前にカズマが現れた」

「突然・・・?」

「ああ。その時神が私に告げた。「彼はアウディーラを守る者である」と。彼は曲、というものを作る事が出来て、その曲をカズマの妻であるリリュアが歌う。するとその曲に込められた想いや願いが形となって現れる。そういった不思議な力が彼らにはある。実際にカズマが来てからというもの、彼の作った曲で何回も助けられているのだ」

そう話し終えたところで、カズマは手に何冊か本を持ちテントへと戻って来る。

その本の中にはとても見覚えのある本が一冊。
私が見たものより日焼けもなく綺麗なものだったが、それは確かに私がモールから受け取ったあの本だった。

「それ・・・!」

「どうした、リオン」

「それよ!私が渡された世界を救う曲が書かれた本は・・・!その曲、カズマが書いたものなのね!?」

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