Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~

あの後、ヴォルデルトは人が変わったように、普通の人間と戻っていた。

聞けば、あのフィランドールの書かれていた本。
その本を彼が手にしてからその後の記憶がないらしく、彼の意識がないままで世界を絶望の闇へと陥れてしまった。

その事を知ったヴォルデルトは、その事実にいたく心を痛め、ずっと悩んでいたようだ。


「悲しいね。自分の意識を乗っ取られて、知らない間にこんなことになってしまうなんて」

「どうにかしてやりたかったけど、こればっかりはな・・・」


ウェインの絡める腕にグッと力が入る。
やりきれない想いがひしひしと伝わって、胸が締め付けられた。


「もうこんな経験は二度としたくないよ。つまんなくてもいい、平和な時間が続けばいい」

「・・・ああ、そうだな。その時間が一秒でも長く続くように、この国の為に、この世界の為に手を尽くすよ。それが俺に課せられた使命だから」


< 204 / 206 >

この作品をシェア

pagetop