Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
こうして、私は一人この森に残って地獄の練習が始まった。
ウェイン達は一旦城へと戻り、城の護衛と残された人達の世話をする事となった。

手始めにルリさんが書いた楽譜の曲を吹きこなせるように、練習をしていく。
食事と寝る以外はひたすらにフルートを吹く毎日。

フルートを支える右親指にはタコができ、楽器を支えると痛くて悲鳴を上げる。
疲れからなのかアンブシュアがキープ出来ずに、まともに吹けない日もあった。

そんな私をウェインは心配して、毎日森に通ってくれた。

タコが出来て腫れた親指に、ウェインは治癒魔法をかけてくれる。
上手く吹けなくて落ち込んでいれば、優しい言葉をかけてくれた。

吹けるようになった曲を披露すれば、その音と、曲と共に現れる魔法に手放しで喜んでくれた。

「凄い・・・!凄いぞリオン!!これはなんて言う魔法だ!?」

「え、ええと、これは・・・キャンディを降らせる曲だって」

「キャンディか!これは子供達に持っていったら喜ぶだろう!もっと吹いて沢山出してくれないか!?」

そう言って無邪気に笑うウェインの顔を見るのが好きになった。
いつの間にか、この笑顔を見られるように頑張る自分がここにいた。

ウェインの言葉に励まされ、笑顔に勇気づけられ、私は逃げずにフルートに向き合う事が出来ている。


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