⁂初恋プリズナー⁂

だから、油断……してた。

この発作。

私は、未だに小さい頃の自分にとり憑かれているんだと証明している。

私も自分の分は弁えてるし、静かに大人しく目立たないように。

相手に不快を与えない程度の愛想と立ち振る舞いに気を付けている。

でも……。


「……すぅ。はぁぁぁ…………」


視覚、聴覚、動悸。

身体は少しずつ正常運転を始めると、冷静にさっきの出来事が思い出される。

イケメン男性が前髪を触れようとした時、私の容姿に臆する事もなく話しかけられて、油断してしまったんだ。

あの男性、手を振り払ったら吃驚した顔をしてた。

もし、また会う時があったら謝らなきゃ……。

発作が治まったのを確認して、ゆるゆると立ち上がる。

時間を確認すると、そろそろ休憩が終わる時間だった。

大きく息を吸って、気持ちを切り替えた。

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