冷たい舌
「馬鹿にすんなよ。俺はお前じゃねえぞ」

 透子は、にっ、と笑った。

「やるんなら、一回通すぞ! 早く来いよ。
 ほんっとに、とろいんだから、お前はっ」

 辺りにまだ散らばる小物を蹴散らしかねない勢いで歩いていく和尚を指さし、透子は龍也を振り仰いで笑った。

 龍也は呆れたように、玄関先に消えていく和尚を見ながら呟いた。

「あいつ、実は結構チョロいな……」



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