君を想う
プロローグ

アラームの音で目が覚める。
今日は空が雲っている雨が降るかもしれない……。


念のため傘を持って行った方がいいかな。
置き傘を手に持ち家を出た。

歩いているうちに、冷たい物が落ちてきたなと思ったら……やっぱり途中で雨が降りだした。


駅に行く途中、ある光景が目に入り足が自然と止まる。

向かい合って話しをしている男女。
男の人が雨の中、傘をささずに立ち尽くしていた。
隣にいた女の人が直ぐに自分の傘に入れようとしたけど男の人はそれを拒んだ。


その後、女の人が何事か捲し立てていたがその人は黙って聞いているようだった。
やがて女の人は走り去って行き……男の人はまだ動かずに立っていた。


前にも似たような光景を見た事がある。
あれは高1の時だった学校からの帰り道に友達と歩いていると。
雨が降っているなか相合い傘の男女が立ち話しをしていた。

そのまま通り過ぎようとしたら大きな声で言い争う声が聞こえてきてビックリして友達と立ち止まった。

「―――――」


それは暫く続き不意に女の人が傘から出て……去ろうとして呼び止めた男の人が傘を渡した。それを受け取った女の人は走って行ってしまった。


まずい所に出くわしたと私と友達は顔を見合わせる。


「行こう。里奈」


友達に腕を引っ張られ歩き出したけど、ふと立ち止まり立ち尽くしたままの男の人を振り返り見た。



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