君を想う
この先も


過ぎていく日々の中で藍川への想いに気付きその想いはさらに深くなっていった。
そのうち、自分の気持ちを藍川に伝えよう。
だけど、そんな簡単な事じゃなかった。
俺と藍川の間には幾つかの問題があったから。


そのうちの1つは、営業部の取り引き先の会社の営業マン田辺さん。

田辺さんは藍川に好意を持っているようだ。
俺から見てもそれは、直ぐに分かったのに当の藍川は鈍感らしく田辺さんの気持ちに気付いてない。
それなら……彼女が田辺さんの想いに気付く前に……。


俺の目論みは行動に移す前に先を越された。

あの日、会社に来た田辺さんとすれ違った。
その時の田辺さんは、いつもと違い強気で自信ありげな態度。


「昨日、藍川さんに気持ちを告白しました。返事はまだ貰ってないのですが、きっといい返事をもらえると期待しているんです」


やられた……と思った。


このままだと田辺さんに……。


そのうちなんて待っている場合じゃない。
俺は、想いを彼女に伝えることにした。
そう決心した翌日シンガポールへ、また行ってくれと部長から言われた……藍川に告白するなら今しかないと思った。


とにかく、藍川に気持ちを伝える。
もし、受け入れてくれるのなら……。


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