人格障害の子に恋をした

  初練習

 『真紀:明日の放課後にサークル室借りました。何か曲合わせたいんだけど、みんな来れますか?とりあえず超簡単な○○合わせない?みんな知ってるよね?』


グループラインに真紀からのメッセージが入った。○○は、誰もが知っている曲で、軽音を始めたばかりの初心者が必ずまず練習すると言っても過言ではない。

『彰:放課後空いてます。○○明日までにできるようにしておく!』


一時間後くらいに、再びラインを開くと、新着メッセージがあった。

『沙希:私も空いてます。○○合わせたいです。』


 僕は、下手な奴だと思われたくなくて、急にベースを取り出して必死で練習を始めた。

僕は小さい頃から音楽をやっていたわけではなく、五線譜の楽譜は全く読めない。

タブ譜といって、五線譜が読めなくても弦楽器が演奏できる、何とも便利な楽譜がある。五線譜が読めなくてもベースは弾けるのだ。

しかし、ベースを始めたのは高校生の時だし、バンドとして活動するのは初めてだった。  

音楽的才能もない。要するにあまり自信のない僕は、明日の初合わせのために、必死で練習した。
 
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