〔企画〕ぼくらのひみつ基地


「~~っ!もういい!つぎ!」

「じゃあ、私かなー?
えーっと、昨日のことなんだけどね?
お母さんが、離婚したらどっちに着いていきたい?って訊いてきたから、どっちにするべきなのかなーって。
というか、あれ?離婚しちゃうのかな?」

次に言ったのは涼子。のんびりとした口調だが…。

「いや、それも普通に重いと思うのはアタシだけ?」

「安心して。楓だけじゃない。僕も同じこと思った。」

一瞬固まっていた達貴の硬直が解ける。

「もうなんなんだよお前ら。もっとこどもらしい悩みを持てよー!だいたい、俺、ちゃんとさいしょに、こどもらしい悩みをって言ったのに…」

最後は半泣きだった。でも、あー、こどもらしい悩みって、なんだ?

そんなことを思いながら達貴を見ると、達貴はなんとかこぼれそうになった涙を拭いていて、楓がハンカチを差し出していた。

当の涼子は、なんでそんな反応をされているのか、よくわかっていない様子。そして、理恵は、2人をニコニコしながら見ている。

「んー。じゃ、達貴の言うこどもらしい悩みってどんなんだよ?」

達貴が泣き止んだのを見計らって、声をかけた。ほかの4人も頷く。

「…こどもらしいってのは、えーっと、そうだ、あれだ、昨日駄菓子ねだったけど買ってくれなかったとか、夕飯つまみ食いしたら怒られたとか、お菓子が1日に1個じゃ少ないだとかだなぁ…。」

「って、全部たべものの話じゃんかよ。」

「達貴、食いしん坊だもんね」

「あんた、それ、直さないと太るわよ」

上から、僕、理恵、楓の順に突っ込まれ、またも落ち込む達貴。楓がため息を吐いて言った。

「じゃあ、アタシも言おうかな。このあいだの漢字50問テストで再テストになっちゃった。で、罰としてアタシよるごはん食べてない。」

「…ちょっと違う気もしないでもないけど、まあ、だいたいそんな感じだ。秋はなんかないのか?」

急に話を振られて驚く。

「え、僕?うーん。そうだなー。
このあいだのテスト、こくごとさんすう100点だったんだけど、まだ誉めてくれてないんだよな。ちょっと寂し…って何いわせんだよ!」

「秋くん、誰も言わせてないよー?」

涼子がのんびりと突っ込んでくる。それに被せて理恵が質問してきた。

「誉めてもらってないって、見せたの?」

「いや、見せてないよ?ここ2週間くらい、父さんも母さんも帰ってきてねぇし。」

そう言った瞬間、みんなが凍りつく。

「そういや、テーブルに探さないでください、みたいな置き手紙があっ…」


「「「「重いわ!!!」」」」


言いかけの言葉を遮られ、勢いよく突っ込まれた。しかも、涼子までそんな口調で…。

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