SEXY-POLICE79
少年の名は草間羽鳥(くさまはとり)。年齢は十五、六ぐらいであろう。草間は持ってきた懐中電灯を手に病院の中へ忍び寄る。割れた窓ガラスに長いこと使われていない公衆電話、座席の布は剥がれ壁のあちこちには蜘蛛の巣が張り巡らされて進むのが困難だ。草間はうっとうしげに蜘蛛の巣を剥がして、ずんずんと先に進んでいく。錆びくれた建物の中は静かで、水の滴る音だけが響いていた。

「そろそろ丑の刻になります。羽鳥」

「ああ」

今回の仕事はこの病院に出ると噂される霊の調伏だ。草間はふぁと大きな欠伸を一つついてから、キリ、と向き直り怪しい気配がないか神経を集中する。今のところ何の気配も感じられない。また欠伸がぽろり。今一やる気のない草間に河和は彼が口にくわえていた煙草を取り上げた。

「お、おい、何すんだよ、河和。返せ」

「ちゃんと仕事をして下さい。さっきからあくびばかりやる気のない証拠です」

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