SEXY-POLICE79
「この噛み痕は」

「おそらく犯人の仕業だと思われます。鑑識の調べでは、傷口から体中の血液が失われていたそうです」

「血液が…?」

桐野はもう一度、殺害された被害者の写真をみる。傷口からして、そんな大量の血が無くなるほどひどい傷ではない。何者かに噛まれたような二つの赤い点。

「今では『吸血鬼事件』として街中に広がっています」

吸血鬼だと…。そんなオカルトじみたことがあるわけがない。誰もがそう思うだろうこの奇怪な事件に一人、険しい目つきで立ち上がるものがいた。それが遥々東京からここ京都に応援として派遣された城央署刑事課所属の桐野幸四郎である。

「俺は貴船に向かいます」

「ちょ、ちょっと先輩!」

いやな予感がする。それも、今まで感じたことのないほどのぞわぞわとした感覚。貴船で何か起こっている、いや、起ころうとしている。それもとんでもないものがいま、生を育もうとしている。




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