あの頃の私は知らない。






「あとね、私ずっと園田くんのこと好きでした」


ずっと伝えたかった言葉を伝えると、彼はぽろぽろと涙を零して、ぎゅうっと私を抱きしめた。








――あの頃の私は知らない。



彼がエレキギターをとても上手に弾くことも。


世界が二度ひっくり返ることも。


そっと拾い集めた夢の欠片が揃うことも。










あの頃の私は、知らない。


―fin―






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