ハピネス
「ごっ、ごめんね巴ちゃん!!ごめんね!!」


私は慌ててオルゴールを拾い上げて、上下左右様々な角度に動かした。


オルゴールは外観はヒビが入ったり欠けたり、破損した様子は見受けられない。


ところが一旦フタを閉めてまた開けてみても、一向に音楽は流れてこない。


「ウ、ソ……」


「ちょっと早乙女、貸して!!」


イスに座ったまま硬直する私の元に、比嘉君がやって来た。


彼も何度もフタをパカパカさせるが、前日のあの美しい音色は奏でられる様子を見せなかった。


もうこうなると、いい加減に認めなければいけなくなってしまう。
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