無愛想で糖度高めなカレの愛
○もどかしい距離


誕生日から数日、私の浮かない日々は続いている。気まずさが勝ってしまい、夕浬くんとはいまだに話をしていない。

けれど、今日ばかりは彼のことを気にしていられなかった。なぜなら、再びクランチチョコレートの試食会があったから。

恐る恐る口にしてみたものの、前回と変わらず美味しさを感じなかった。ザクザクとしたクランチと、ただただ甘いチョコレートがマッチしていない感じ。

抹茶味は苦さがすごく舌に残った気がしたけれど、他の皆は『前よりも風味が良くていい』と意見が一致して、商品化を進めることになった。

やっぱり、私がおかしいのだ。どうにかしなくちゃ……。


試食会の後に入ったトイレで、鏡に映る自分と見つめ合い、大きなため息を吐き出した。

どこで診てもらったらいいのだろう。耳鼻咽喉科? それとも内科? そもそも、こんな病気かどうかも曖昧な症状を診てもらえるのだろうか。

悶々と悩んだままトイレを出て開発課へ戻ると、先に戻ってデスクに座っていた美結ちゃんが、心配そうな顔で私を見上げる。


「先輩、大丈夫ですか? なんか試食会の時から顔色悪いですけど……」


そんなに顔に出てしまっていたのか、と反省しながら、私は笑顔を作ってみせる。

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