無愛想で糖度高めなカレの愛
「夕浬くんにはたくさん感謝してるわ。甘い恋嫌いも克服させてもらえたしね」


『あなたの“甘い恋嫌い”も、俺が克服させてみせます』と宣言された時のことを、すでに懐かしく思いながら言った。

当の本人は、今の私の言葉で何かを思い出したように、「あ」と声を漏らす。


「そういえば、まだ明穂さんに言ってないことがあったな」

「えっ、何?」


何か重大な秘密でもあるの?と少しギョッとして、グラスに口をつける彼を見やると。


「実は俺も、昔は甘いものが苦手だったんですよ」


告げられたのは、以前又聞きしてしまった彼の秘密だった。

なんだ、そのことか……と安心した私は、含み笑いしながらちょっぴりいたずらっぽく言う。


「……知ってる」

「え」

「バレンタインの日、ミツコさんに会った時に聞いちゃった」


一瞬ぽかんとした夕浬くんは、気が抜けたように息を吐き、額に手をあてる。


「ミツコさん……何でそんなことを」

「レストランでチョコレートフォンデュを美味しそうに食べてる子を見て、それに影響されて食べたらハマったんだって?」

「全部言っちゃってるし」


カクリと頭を垂れる彼がおかしくて、私もつい笑ってしまった。

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