ぼくらのストロベリーフィールズ
今回、父は出張を切り上げて帰ってきた。
本当は土日もゴルフ接待やお客さんとの付き合いがあるらしい。
ナズちゃんなどクラスの友達や尚紀くんの家は、バスを使わなければ行けない距離。
母がいない今、私が一番頼りにできるのは一吾くんだった。
「私も……そうしたい。その方がお父さんも安心して出張行けるでしょ」
「んーーー」
「1人でいると、今回の犯人のこと思い出しそうで……」
「…………」
結局、条件つきで父は一吾くんの提案を受け入れた。
未成年2人だし何かあったらすぐ連絡すること、
夜は出歩かないこと、
信頼できる友達以外は家に入れないこと、
光熱費や食費などの一部を一吾くんに払うこと、など。
一吾くんは、分かりました、でも僕もここで昔お世話になりましたのでお金のことは気にしないでください、と答えた。
「改めて、今回は色々ありがとう。のばらのことよろしく頼むよ」
父は少し寂しそうな顔で、一吾くんに頭を下げた。
しかし。
「あ、もしのばらさんから誘ってきた時は、ちょっと分かんないっすけど……」
と一吾くんが言ったため、私は彼の肩をバシッとぶっ叩いた。