ぼくらのストロベリーフィールズ

7-1








「えへへへ、嬉しいな~~~」



初めての給料を手にして、帰り道で1人ニヤニヤしてしまう私。


一吾くんは「キモッ」とつぶやいた後、無言でスタスタと歩いている。



私のシフトは週3~4くらい。


残りの日は、一吾くんのものも合わせて家で洗濯をしたり、両方の家の掃除をしたりしている。



ちなみに一吾くんは引っ越しバイトも続けていて、時々尚紀くんと一緒に行っているらしい。



そりゃ、一吾くんに比べたら私の労働なんてかわいいもんか。


でも嬉しいもんは嬉しい~。



「えへへ~何に使おうかな~。さすがに洗濯機は買えないけどー、焼肉とかどう?」



「…………」



あれ、無視っすか?



「ねー聞いてるー?」



仕方がないので、小走りで一吾くんの前に向かう。



「……は? おれ?」



一吾くんは不意打ちだったのか、一瞬だけ目を見開いた。



「そーだよー。だってまずはお世話になってる人に恩返ししないと~。あと~お父さんにはネクタイでも買ってあげようかなー」



そう続けた私を一吾くんは不思議そうな目で見つめている。



「え、どしたの?」


「おれはいいよ。せっかく自分で稼いだお金じゃん」


「だめだめ! 一吾くんは何がいい? ハンバーグ? あ、肉以外? じゃあお寿司とか? 回るやつのちょっといいとこ……っ」



一吾くんは私の頭をぐしゃっと撫でて、再び歩き出した。



「だからいいって」


「でもー」


「じゃ、今度のカレーに国産牛でも入れといて」



触れられたことによるドキドキが全身に広がっていくと同時に、ちょっとがっかりしてしまった。



一吾くんとデートしたかったなぁ、なんて。


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