ぼくらのストロベリーフィールズ
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びっくりした。


空き巣が彼女の家に入り込んでいたのはもちろんだけど。



『一吾くんが無事で良かった……』



助けた後、彼女はなぜか僕の心配をしていたから。



危なかったのはそっちだったくせに。


僕のために泣く理由がわからなくて、怖かった。



なぜか無理やりキスまでされたし。



普通は、何も盗まれなくてよかった、襲われなくてよかった、とか。



または、空き巣に入られたという事実を利用して、誰かに慰めてもらったり、同情をしてもらったり……ではないのだろうか。



『助けてくれてありがとう、のキス』



そう言われて、やっと僕は気がついた。


今、隣にいるのは母ではなく、のばらであることが。



ぎゅっと胸が苦しくなり、のばらを自分のものにしたいという衝動が僕を動かした。



初めて僕が、自分から唇を求めた瞬間だった。



これが好きという感情なのだろうか。



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