ぼくらのストロベリーフィールズ






「ちょっと。実の部分までむいてるよ」


「だってー。ねー、ピーラー買おうよ~。包丁だと難しいって」



バイト休みの今日。


私は、母の隣で夕食の準備を手伝っていた。



父も今日は早く帰って来るらしい。



私は事前にあることを父に相談していた。



父は少し悩んでから、


『父さんは彼を1人の男として認めてるし、感謝もしてるから。今度はこっちが助けてあげないとね』


と言ってくれた。



「ねー、お母さん」


「何? 次はにんじん切って」


「はーい。……お母さんは覚えてる? 一吾くんのこと」



「ああ。昔、家によく来てた子ね」



母はコンロに鍋を置いて火をつけ、


私は包丁をにぎり一口大に野菜を切った。



「お母さんって、あんま一吾くんのこと良く思ってなかったよね」


「別に? あの子のお母さんが苦手だっただけ」


「どうして?」



「だってあの人、男と金がなきゃ生きていけないタイプでしょ? 家で一吾くんにケガさせたら金払え~とか言いそうだし」



確かに……と言いそうになり、


私はざくっと音を出してにんじんを切った。


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