ぼくらのストロベリーフィールズ







「映画、良かったねー。私、涙止まらなくてやばかった~」


「そう? 何か最後とか、いかにも泣かせようとしてる感じだったじゃん?」


「もう! 感動してる人にそういうこと言わないでよ!」



今日は土曜日。


一吾くんの昼のバイトが休みのため、久しぶりにデート中。



映画館を出て、私たちは手をつなぎショッピング街を歩いた。



あくびをしながら歩く一吾くんは、前よりも背が伸びた気がする。


顔立ちも大人っぽくなり更に格好良くなった。


ちらっと通りすがりの女の子から視線を向けられるほどに。



「それにしても居酒屋復帰できて良かったねー。あそこ時給いいし」


「まあね。義理堅い店長で良かったかも」



デート後には、一緒にあの居酒屋バイトに行く予定。



店長はなんだかんだ言って、一吾くんのことを気に入っているっぽい。


バックレ状態だった一吾くんを再びシフトに入れてくれた。



スマホを見ると、まだ午後2時。


バイトまで結構時間がある。



「どうしよっか。私、冬服ちょっと見たいかもー」


「は? また買い物? すぐ決めれんならいいけど」



機嫌の悪そうな声をかけられつつも、つないだ手は離れない。


一吾くんはあまりファッションに興味がないらしいけど、シンプルな服装は彼に似合っていて私は好きだった。


というより、一吾くんのことが大好きだ。


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