ぼくらのストロベリーフィールズ
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小学6年生になる前に田舎町を離れ、
電車で都会まですぐ行ける街に母と引っ越しをした。
力くんやクラスのみんな、道場のみんなと、別れることになるのは悲しかった。
でも、母はこんな田舎じゃなくて、もっと稼げるところに行きたいと言い出したため、僕はついていかざるを得なくなった。
『さくっとおれより強くなりやがって! 次は大会で会おうぜ!』
『一吾くん都会に行っても元気でがんばってください』
『イチゴ食べれるようになれよ!』
引っ越す前に、お世話になったみんなからの寄せ書きをもらった。
男はそう簡単に涙を見せるもんじゃねーぞ! と力くんのお父さんに喝を入れられたけど。
それを見た時、嬉しさと寂しさが一気に押し寄せ、目の奥が痛んだ。
新しい学校には、イキがっている男子や、妙にませた女子が多かった。
転校初日、僕は女子たちに囲まれ、質問攻めにあっていた。
男子たちは、じろじろと僕を遠くから見ていた。
どんなレベルの人かを見定めているような視線や質問に僕はイライラした。
その感情はきっと外に漏れていたようで。
次第に悪そうな男子からガンつけられたり、メイクをしている女子に潤んだ目を向けられたりするようになった。
力くんに言われたときはあまり実感がなかったけど、
確かに自分で自分は変わったなと思った。
いじめられていたあの頃が懐かしいと思えるほどに。