KISSしてダーリン。
「ナツ!!」
教室に着くや否や、心の友が駆け寄って来てくれた。
「ミィカァァァ~」
「あんた派手にやりすぎよっ!!」
ボカッ
え、痛いっす姉さん。
てっきり抱擁して慰めてくれるかと思っていたのに…
この女は甘くなかった。
「学園中みんながあんたたちの話で持ちきりよ!」
「え……」
嘘でしょ…やっぱり、王子様がフリーになったからって、みんな早速狙い始めたんだろうか…
よく見たら教室の外から私を見る野次馬の顔もあった。
「も~勘弁してくれ…わたしゃ失恋して傷心中なんだよ」
「世間一般的に、失恋したのはカイくんでしょ」
……そう、だけど
カイはもう私じゃなくて他の人を愛していたし。
だから、失恋したのは私のほうだよ。
まぁ…周りのみんなはそんなこと知ったこっちゃないだろうから、こうして私に白い目を向けるのだろうけど。
その目線を避けるかのように、机に突っ伏して今日1日が早く終わることを願った。