KISSしてダーリン。




――反射的に出たその思い。


消え入りそうな私の声は、カイの唇に飲み込まれた。



触れたか、触れていないか…分からないくらいのキス。


苦しそうに歪めた顔で、カイは私の頬の涙を優しく拭った。



「したく…なかったんじゃないの」


「……少なくとも、こんな風にするつもりはなかった」


「なんで……じゃあ、どんな風ならいいの…」



私がもっと、可愛くなったら?


あの女の子みたいに、魅力的な唇になったら?



「誤解してる、ナツは」


「……誤解って、なに」



なにが誤解?どれが誤解?浮気?キス?


疲れたようにため息を吐くカイを見て、カッと頭に血が上った。



「カイが何考えてんのか、全然分かんない!」


「っ」


「本当に私のこと好きなの!?あの子のことが好きなんじゃないの!?」


「だからそれは、」


「もう嫌だ!苦しい…辛いよ」



涙をボロボロと流しながら、ヒステリックにそう言う。




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