KISSしてダーリン。

友人X

<番外編>






鼻につく塩素の匂い


上がる水しぶき。水中を自由自在に泳ぐ男たち。


その中で、一際目立つ人物がいた。



「カイ、お前今日どうした?」



そいつは、いつもしなやかな泳ぎで周囲を魅了してみせるのだが、今日は違った。


泳ぎが荒いし、何より集中力がない。



「どこか悪いのか?」



こんな状態の彼は久しぶりに見た、というか高校に入学して初めてであり、コーチに心配される始末。



「…すいません、大丈夫です」



いやいや、大丈夫じゃないでしょ。


強がっちゃって…意地っ張りだなぁ。彼女と同様。



彼がこんな状態なのは、恐らく、というより確実に、数時間前の出来事が原因だろう。



「カイ」



コーチに休憩しろと言われ、プールサイドに上がった彼に声をかける。



「……んだよ」



わ~すこぶる機嫌が悪い。


こんなカイ、本当久しぶりに見たなぁ



 
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