ずっと、君に恋していいですか?
それから、三ヶ日を過ぎて少し人出の落ち着いた神社で参拝を済ませ、おみくじを引いた。

「末吉か…。薫は?」

「私も同じ。」

志信はおみくじの“失せ物注意すべし”の言葉がやけに引っ掛かり、何かなくして困るような大事なものなどあったかなと考える。

(なになに…。“仕事に邁進して吉”…?そうか、やっぱり仕事頑張れってか…。それから…“家移り注意すべし”…?“何事も焦らずすすめて吉”…?なんだこれ?)

思い当たる事と言えば薫と一緒に暮らしたいと思っているくらいで、引っ越しが良くないのなら今住んでいる部屋に薫をよべばいいのかと思ったりする。

「薫のはなんて書いてある?」

志信は薫のおみくじを横から覗いて、そこに書いてある“良縁有り”の文字に目を留めた。

「“良縁有り、流れに乗って吉”…?」

自分のおみくじには書かれていないその言葉が薫のおみくじに書かれている事が、志信は妙に気になった。

「なんかいろいろ書いてあるけど…当たる気がしない。」

薫はおみくじの文字を目で追いながら呟いた。

他にも志信と同じように“失せ物注意すべし”とか、“執着する古きもの手離して吉”などと書かれていて、薫はよくわからないと首をかしげた。

「まぁ…。当たるも八卦、当たらぬも八卦って言うしな…。」

「そうだね。」



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