ずっと、君に恋していいですか?
結局、夕方までに欠勤の連絡をしてきたスタッフが3人いた。

ウイルス性の胃腸炎が二人、インフルエンザが一人。

さすがに3人も欠くと、キャンペーン中でいつもより来客数が多い週末の営業に影響する事は間違いない。

他のバイトの子たちをあたってみると言って、欠勤者の穴埋めをしてくれるスタッフを探して電話をしていたサブマネージャーが、深刻そうな顔をした。

「インフルエンザと胃腸炎、蔓延してますね。今日のシフトに入っていない子たちの中にも、感染者が3人見つかりました。」

「えっ?そんなに?」

今日は出勤している社員が残業するとしても、土日のスタッフが足りない事は明らかだ。

「どうしたものかなぁ…。」

マネージャーとサブマネージャーが困った顔をしてシフト表を見ている。

「すみません…ちょっといいですか?」

薫はシフト表を見て考える。

土日は元々、社員は全員出勤するので、足りない人員はアルバイトスタッフに頼るしかないのだが、今週末のシフトに入っているアルバイトスタッフの3分の2ほどが欠勤せざるを得ない状況になっている。

(どう考えてもスタッフが足りない…。)

「私、土日出ます。」

「えっ?」

薫の申し出に、マネージャーとサブマネージャーは驚いた顔をしている。

「いや、でも…。」

「こういうのも私の仕事ですから。今日の晩は社員の残業でなんとかなりそうですか?」

「ハイ。」

「それではそうしましょう。マネージャー、スタッフに手洗いうがいとアルコール消毒をこまめにするよう呼び掛けて下さい。」

「わかりました。」

「今日は私も定時までいますから、それまでに残業するスタッフに休憩をとらせて下さい。」

「ハイ。」

薫は席に戻ってお茶を飲み干すと、タバコに火をつけながらスマホを手にした。

(こういう時は仕方ないよね…。)




< 46 / 187 >

この作品をシェア

pagetop