奇聞録(冬)



老婆は私にずっと喋り掛けてくる。


不思議なのは私以外に見えていない。


声も聞こえていないようだ。


老婆が何を言っているのか解らないが、
しきりに私の名前を呼ぶ。


無視していたら、

鉄筋が落下してきて、

私は死んだようだ。


私は、老婆が言っている事が死んでから解るようになったが、


私からの声は誰にも届いていないようだ。


待って、危ないよ。

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