流れ星スペシャル


「お先にあがらせてもらいますね。ちょっと机いい?」


「え、うん」


と返事をする前から、アズはもうチャーハンのパックを袋から取り出している。

オレは、ひとつしかない事務机の上の自分の皿を端に寄せた。


「ここで食う?」


椅子なら折りたたみ式のが他にもあるから聞いてみると、アズは首を横に振った。


「ううん、いい、いい。写真撮るだけやから!」


「写真?」


「うん! 目玉焼き、桂木さん初めて焼いたんやって。わたし自転車やから崩れたらあかんし、激写しとくねん」


うれしそうにそう言うと、アズは机にパックを置き、フタを開ける。




「わぁ、可愛い、まん丸!」


彼女はその真ん丸な目玉焼きを、スマホで何枚も撮影していた。




「あいつのこと好きなん?」


と、まー聞いてみる。


「えっ?」


そうしたらアズは、驚いた顔をしてオレを見た。


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