流れ星スペシャル


翌日、昼過ぎには店入りして、オレは和モダンなボックス席に腰を下ろした。

横のシートにドサッと、ビジネスバッグを放り出す。


昨夜はこの店に泊まった。

どうせ電車もないんだからと、朝まであちこち掃除をして過ごした。


始発電車で帰宅しようかとも考えたが、9時には出社しなくてはいけないから、やめといた。

そのままスーツに着替えて、会社へ行き、引継ぎの続きを済ませ、こうして店へ戻ってきたところ。

13時には、本部からの研修指導者がやって来るらしい。



今のうちに食っとくか。


まだ時間があるので、鉄板の上に買ってきた新聞を広げ、パンを取り出した。

それをかじりながら、いつも通り経済面の隅々にまで目を通していく。


不思議と眠くない。

結局徹夜したんだし、まさかの事態に身も心も疲れているはずなのにな。


フー……。


オレは大きく息をついた。


それにしても、怒涛の一日だった。

なんせ昨日の朝は、いつもと変わらずに出社したんだもんな。

それが急きょ流れ星に着任し、飲食店で深夜まで働くという……。


缶コーヒーで喉を潤したとき、やっと小さなあくびが出た。


< 185 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop