黒狼と猫の総長様
私の過去
『……玲彩』
空き教室につき、落ち着きを取り戻した私の名前を、ルキが呼ぶ。
大丈夫なのか? と、目で訴えてくるルキに、力無く微笑む。
『……私の、過去を聞いて欲しいの』
私の言葉に、皆が息を飲むのがわかった。
それでも、私は続ける。
『……私の事を、軽蔑してもいい。
だから、最後まで、聞いて欲しい』
そう言って、強く目を瞑る。
あの時の事は、今でも鮮明に思い出せた。
……どこから、話そうか?
このさいだから、ルキたちの知らない、昔の事も話してしまおう。
『……言葉は、いらないから』