許嫁な二人

 唯を見つめる透の顔に笑みはもう浮かんでいない。

 真剣にひたむきに、透は唯を見つめる。



   「それは、透くんの夢よりも大切なものなの?」



 そう唯は聞いてしまっていた。



   「俺の夢?」

   「飛行機つくりたいんでしょ。」

   「ああ。」



 透はちょっと唯から目をそらすと、じっと考え言った。



   「おれは欲張りかな、どちらも大切だ、でも、唯が
    考えてくれというなら、考える。」

   「、、、、。」



 顔をくもらせ、うつむいてしまった唯に透がおどけたように言った。



   「じゃあ、弓で決めないか?勝った方が、負けた方の
    言うことを聞く。」



 そんな勝負、公平じゃないのに、、、と思いながらも唯は
 透に渡された矢を手に取った。




 結果は火を見るより明らかで、負けたくせに透はさばさばとした
 顔で言った。
 ”唯の好きにしていいんだ”と。
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