許嫁な二人

 自分の隣で静かに眠る唯の顔をみて、透も深い眠りに落ちた。

 しかし、次の日の朝めざめたとき、、、、。

 確かに唯は隣にいたはずなのに、まだかすかに温もりがのこる
 ベッドには、透ひとりがいた。



   トゥルルル トゥルルル

 長い呼び出し音のあと、電話のむこうに”はい”と唯の声が聞こえる。



   「黙って帰るから、心配したぞ。」



 そう、透が言えば、唯”ごめんなさい”と答えた。



   「帰ってるならいいんだ。」



 そういったが、透はこの時、気付くべきだったのだ。

 神社にいるにしては、唯の後ろのざわめきがうるさいことに。

 でも、透はいやに落ち着いた唯の声に、自分ひとりが昨晩のことを
 意識しているような気がして、焦っていた。

 だから”急がしいから”という唯の言葉に、早々に電話を切った。



 


 
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