許嫁な二人

 平田がそう言った途端、キャーとだれか女の子が叫ぶ。



   「え、え、そうなの?、瀬戸くんと碓氷さん。」

   「えー、そんな信じられない。」

   「私、瀬戸くんのこと、いいなっておもってたのにぃ。」



 ざわめきが激しくなり、二人を噂する声がぐるぐるまわる。

 唯は唇をかみしめた。

 ちらりと透を見ると、やはり唇をかみしめ、白っぽくなった
 顔を呆然とみんなの方へむけている。




 それから、駆けつけてきた先生たちに、それぞれ部屋に戻るように
 言われて、ぞろぞろとみんなはその場を離れていき、唯と透は
 事情を話すために先生の部屋によばれた。

 みんなとは離れて、先生の部屋にむかう二人の後ろから、



   「ラブラブって本当?」

   「きゃー、いやだ。」



 というひそひそ声がいつまでも聞こえていた。
< 17 / 164 >

この作品をシェア

pagetop