ゼロの相棒




主人がにやり、と笑いながら言った。



この町では、奴隷として人を売ることも
一つのお金の稼ぎ方だ。


主人の手は力を緩めることはない。




このままじゃ本当に二度と家にも帰れなくなる……!




その時、私の頭の中はジェノバのことで
いっぱいだった。




私が、今ここで捕まったら
ジェノバはどうなる?



食べ物もなく、薬もなく。


私の帰りを待っている。



私が捕まって、奴隷にされたと知ったら

自分を責めて、最悪の場合、自殺してしまうかもしれない。




少なくとも、ここで帰れなくなったら
ジェノバは決して長生きは出来ないだろう




ジェノバ………!




私は、ぎゅっと、手のひらを握りしめた。



抵抗しようにも、さっきの衝撃で体に思うように力が入らない。





このままじゃ…本当に………!





希望を失いかけた瞬間


私の目に黄金に光る髪の毛が映った。





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