ゼロの相棒
口では怒っていたけれど、やっぱり
ゼロが帰ってきたから、グランも嬉しいのかな…。
そんな事を考えながら彼を見ていると、ひらめいたように
グランが私に言った。
「そうじゃ。フィオネもせっかくじゃから、都市を歩いてみてはどうじゃ?
…見たところ、いろいろ知りたい事もあるようじゃし。」
グランの言葉に、私は、胸がどきっ、と鳴った。
知りたい事…?
グランは、私がゼロの旅の目的を知りたいと思っている事に気づいているのだろうか。
心のどこかで、知ってはいけないという
警告の音が聞こえる。
だけど、少なからず、私には知る権利があるはずだ。
私は、少し考えてから、首を縦に振った。
グランはそれを見ると、ふっ、と笑って
「ゼロには、わしから話しておくよ。
朝食を食べたら、行ってきなさい。」
と、優しく言った。
私は、胸の鼓動が速くなるのを感じた。