ゼロの相棒




****



ゼロは結局、泊まっていくことになり、ジェノバの部屋へ布団を運んだ。



月が空のてっぺんに輝く深夜。



私がふと眠りから覚めて、水を飲もうとジェノバの部屋の前の廊下を進んでいると

部屋からかすかに明かりが漏れていた。




そして話し声が聞こえる。




「ゼロ君…フィオネとの話を聞いてしまったんだが…。

相棒を探しているそうだね?」




「…はい。」




二人とも起きているらしい。



私は気配を殺して、つい、二人の話し声に聞き耳をたてる。




「それならば、フィオネを……。

フィオネを一緒に連れて行ってはくれないか?」








ジェノバの言葉に、私は目を見開いた。




「あの子はわしに恩を返そうと、こんな身体になったわしのために盗みを働く生活だ。


もう働けなくなったわしを、捨てることもできない優しい娘だ。」




ジェノバ……?何を……。




「だけど、あの子はこんなところにいていい子ではない。

実際、フィオネは、世界を見たがっている。

彼女の世界は、闇町で終わっていいはずがない。」





< 21 / 508 >

この作品をシェア

pagetop