ゼロの相棒




****


塔の中に入ると、外よりも少しひんやりとしていた。


思わずぎゅっと外套で体を覆う。




塔の中心にはコンクリート製の太い柱が
上に向かって伸びており、その周りを螺旋階段がぐるぐると巻きついていた。





外からでも感じたが


…相当高い建物だ。





私たちは、一段ずつ階段を登り始めた。




…何段あるんだろう。




総数を考えるとこれからの気力が落ちそうなので、私はぶんぶんと、頭を振ってそのことは考えないようにした。






ジンとゼロは、すいすいと階段を登って行く。私は置いていかれないように速度を上げた。





「ここにはその“守護者”の家族が住んでるのか?」




ゼロがジンに尋ねる。




「いや、彼女の両親は他界していて、お兄さんがいるんだが、その人も今は都市で働いているみたいなんだ。

今ここにいるのは娘さんだけ。」





一人暮らしなんだ。こんな大きな塔に。




寂しくないのかな…。




……というよりも、毎回買い物とかをしに外に出るたびに、この階段を登っているのかな……?




< 250 / 508 >

この作品をシェア

pagetop