ゼロの相棒
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塔の中に入ると、外よりも少しひんやりとしていた。
思わずぎゅっと外套で体を覆う。
塔の中心にはコンクリート製の太い柱が
上に向かって伸びており、その周りを螺旋階段がぐるぐると巻きついていた。
外からでも感じたが
…相当高い建物だ。
私たちは、一段ずつ階段を登り始めた。
…何段あるんだろう。
総数を考えるとこれからの気力が落ちそうなので、私はぶんぶんと、頭を振ってそのことは考えないようにした。
ジンとゼロは、すいすいと階段を登って行く。私は置いていかれないように速度を上げた。
「ここにはその“守護者”の家族が住んでるのか?」
ゼロがジンに尋ねる。
「いや、彼女の両親は他界していて、お兄さんがいるんだが、その人も今は都市で働いているみたいなんだ。
今ここにいるのは娘さんだけ。」
一人暮らしなんだ。こんな大きな塔に。
寂しくないのかな…。
……というよりも、毎回買い物とかをしに外に出るたびに、この階段を登っているのかな……?