ゼロの相棒






彼は、私に笑顔を取り戻させてくれたんだ。





いろいろな人との出会いもあった。







すべては、ゼロが導いてくれたからだ。








ゼロ………。








あなたは、私にとって大切な人。






いつだって隣に居てくれた、大事な相棒。






ゼロにとっては、ただの“容れ物”だったんだとしても。





私はあなたのおかげで、広い世界を見れた。









その時、頭の中にゼロの姿が浮かんだ。







目の前に立て掛けてある鏡を見ると
私の首筋には、確かに“彼”がいる。







鍵も、魔法もかかっていないけれど、
何処へでも逃げればいいって態度をとっていたけれど。







姿を消しても、なお
あなたは、私を囚えて離さない。






その首筋の跡は、“俺のものだ”と言わんばかりに赤く残っている。







昨日の夜のゼロの言葉を思い出す。







“……今日で…最後になるかもしれないからな。”






ふいに、枯れたはずの涙が溢れた。










「……急に突き放さないでよ………!」








私は、彼のベッドに顔をうずめて泣いた。







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