叶ったはずの恋。





「大ちゃんさ、どうしてここにいるの?」


たまたま屋上にいたなんて、偶然にも程がある。



『僕は今日の日に果たされるはずの約束を、知ってますから。』



「あはは」


あたしは思わず笑ってしまった。



”果たされるはず”


って、もう過去形なんだよね。


うん、過去形か…




『やっぱり僕じゃ、ダメですもんね』


大ちゃんも笑う。


乾いた笑い声で。



「でも大ちゃんでよかったよ」


桐ちゃんの代わり、というワケではないけど、


大ちゃんがいてくれて、助かった気がする。




「でもさ、なんで大ちゃんは今日のこと知ってたの?」


と、あたしが聞くと
大ちゃんは着ていたジャージのポケットから2枚の封筒を取り出した。






< 15 / 132 >

この作品をシェア

pagetop