叶ったはずの恋。





分からない。


意味が…分からない。



手紙の内容だって、


今、桐ちゃんがどこにいるのかだって、


どうして桐ちゃんが来ないのかも、



何も、分からない。



どうしてキライにならなきゃいけないの?


どうして待ってちゃいけないの?


どうして忘れなきゃいけないの?


どうして、謝るの…??



桐ちゃん。


勝手すぎる。


勝手すぎるよ…



気が付いたときにはもうすでに手遅れで、

目からポロポロと涙が零れ始めていた。


必死で涙を拭うのに、

止まる気配はいっさいなくて。



『夏希、泣いて下さい』


隣から大ちゃんの声。

あたしは首を横に振る。


だって約束したから。


あの日に、


桐ちゃんに、


「最後の涙だから」


って、言ったんだ。






< 20 / 132 >

この作品をシェア

pagetop