叶ったはずの恋。

Side 龍貴








『龍先生、好きな人いる??』


仕事をしている俺の横で教壇に座り、足をブラブラさせながらそう聞くのは



『ん?どうしたんだよ、瑛司??』


俺の生徒の瑛司(エイジ)

結構俺のことを慕ってくれてて、外見は軽そうなのに意外に中身はしっかりしてる。



『いや?別に気になっただけ』


瑛司は答えない俺に追求するワケではなく、なぜか鼻歌を歌い出した。



『そういうお前はどうなんだよ?』

そうすると瑛司の鼻歌は止まり、なぜか睨まれる。



『どうして龍先生は教えてくれないのに、俺が教えないといけないの?』


…………それもそうだ。


ちょっと…都合良すぎるか??



それから授業後の教室には俺のペンの音だけが聞こえていて。

その空気が耐えられなくて



『いるよ…好きなヤツ』


と、言った。



あ~ぁ…


何言ってんだ、俺


あくまでも瑛司は俺の生徒だろーが…






< 65 / 132 >

この作品をシェア

pagetop