オレンジの瞳
隣の席の彼



私の隣の席の彼は、いつもぼーっとしている。


授業には毎回出席し、教科書も机の上に出している。



なのに、ノートをとるという行動を全くしていない。


ただぼーっと、窓の外に広がる外の景色を眺めている。

そして不思議なことに、彼は窓際から離れたことがない。



天舞 白 (てんま はく)


それが彼の名前である。

特に目立ったところはなく、運動もできないことはなくそれなりにこなしていると聞く。成績も悪くはないらしい。



一つだけ、きっとこれはだれにも気がつかれていないのだろうけれど、



彼の瞳の色は、茶色っぽいオレンジだ。






その瞳はいつも、目にかかるほど長い前髪で隠されている。



見たことがあるのは、きっと、私だけ。





< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop