Mermaid in loves
Episode1―記憶―
『もしもし、蛍?』
「うん、そうだけど。当然電話なんてしてきてどうしたの?」
『明日、蛍がうちの高校に転入してくるだろ。だから』
「ふふっ、それ答えになってなーい」
『とりあえず心配だから電話した。新しい家とかどうしたの?』
「冥ってば相変わらず心配性だね。大丈夫、冥の家の近くのアパート借りたから」


私は明日、幼馴染の冥がいる高校へ転入する。
昔は家が隣だった。けど私が小学5年生の時、親の仕事の都合で海外に渡った。
だから会うのは6年ぶり。冥がどれだけ大きくなっているのか楽しみで仕方がない。


「冥、明日学校につけないかも。迎えに来てほしいな」
『やだ、めんどくさい』
「冗談だってば。今日だってちゃんと1人でいけたし心配ないよ」
『ならいいや。そろそろ寝て明日に備えろよ』
「うん、わかった。おやすみ」
『おやすみ』
「………」
『………相変わらずお互い自分から電話切れないな』
「そうだね。じゃあせーので切ろうか?」
『うん』
「『せーの』」


そういって受話器を置く。
明日冥に会うのがますます楽しみになってきた。
ワクワクしつつも、明日遅刻するわけにもいかないので布団に入ることにした。
目覚ましもセットし、髪をとかして眠りにつく。





『ビアンカ』

………誰…?

『よかった…なかなか目を覚まさないから心配してた』

この声は……冥!?

『一体どうした、そんな驚いた顔して。まさか俺のことわかんなくなった?』

冥じゃ……ない。

「貴方は誰?」
『ビアンカ。そういう冗談はつまんない』
「私、ビアンカって人じゃないです。貴方は一体…?」
『たまにはそういうごっこに付き合うのも悪くないか』
「え……?」
『初めまして、プリンセスマーメイド。俺はメイロンです』
「メイ……ロンさん…?」

随分変わった名前だな…ってマーメイド!?私が!?
よく見たらこの人、腰から下が魚みたい…。



『さぁ、プリンセス。お名前を?』
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